おはようございます。 「ランサムウェア」の経済的影響の大きさが注目を浴びています。
ランサムウェアとは「身代金」を要求するサイバー攻撃のこと。今年に入ってからは米石油パイプライン大手「Colonial」への攻撃が話題に。
一連の攻撃にはロシアの犯罪組織が関わっているとも言われ、米国はロシア当局の対応にも疑問を投げかけています。
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世界最大の食肉生産業者「JBS」をご存知だろうか。1953年に創業したブラジルの食肉会社だ。
従業員数は24万人を超え、1日あたり7.5万頭分の牛、1,400万羽分の鶏、11.5万頭もの豚を処理することができるという。
ブラジルで初めて食肉生産の統合戦略を進め、世界的にも稀有な成功を謳歌してきた。2019年度の売上高は2,045億ブラジルレアル(≒4.4兆円)にものぼる。
ところが5月31日、JBSの米国部門がランサムウェアによる攻撃を受けたことを発表。米国とカナダ、オーストラリアの製造プロセスが甚大な影響を受けた。
JBSは米国のビーフ市場の23%を握る。米国では2020年5月以来、公になっただけでも40件を超えるランサムウェア攻撃が食品メーカーに対して行われているという。
米ホワイトハウスは攻撃が「ロシアから来ているようだ」と発表。ロシア政府に直接連絡を取り、FBIも調査に乗り出している。
JBSの売上は3分の1が中国向け。主にオーストラリアからの輸出だ。中国ではただでさえ牛肉価格が記録的な水準にある。影響はさらに広がるかもしれない。
ドーナツチェーン「クリスピー・クリーム・ドーナツ」を運営するKrispy Kremeがナスダックへ再上場する。ティッカーは「DNUT」だ。
同社は2000年に1度目の上場を実現。積極的な出店攻勢を仕掛け、数年間は右肩上がりの成長が続いた。
無茶な拡大戦略は行き詰まり、不採算店が続出する。2004年には会計不正疑惑が浮上、ブランドも失墜した。
2016年、ドイツのコングロマリット「JAB Holding」の傘下入り。株式を非公開化した。
約5年の時を経て、2度目の上場を果たす。目論見書によれば 「JABによる買収以来、我々はビジネスの変革を進めてきた」 という。
注力するのは「ハブ&スポーク」戦略だ。製造機能を備える旗艦店を主要エリアに構え、そこから周辺店舗に商品を配送。物流拠点や工場への投資を抑えつつ、効率的な規模拡大が可能となる。
顧客へのリーチを広げるため、ドーナツ専用商品棚「Delivered Fresh Daily」 の展開も進める。4月時点で、コンビニやスーパーなど約7371か所に設置。1年前から3184か所も増えた。
2020年半ばには、クラッカーやクッキーなどお菓子類の販売を本格化。 ドーナツ「以外」の新たな収益源を育てる。2018年にはクッキーの製造・販売を手がける「Insomnia」の株式の過半を取得している。
2020年度の売上高は11.2億ドルで、2016年度(5.2億ドル)の2倍超だ。非上場期間に進めた戦略の真価が今後どう発揮されるのか、注目したい。
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動画会議ツールを提供するZoomが急成長を続けている。
売上高は9.6億ドル(前年比191%増)に続伸、営業利益は前年比868%増の2.3億ドルとなった。成長投資も拡大し、営業利益率は前四半期と比べて低下。
一方、グロスマージン(売上総利益)は2四半期連続で改善。背景にあるのは、パンデミックとともに広がった急な利用増(と、その後の対応)だ。
2020年、Zoomは急増する需要に対応するため、AWSを中心とするパブリッククラウドを頼った。おかげで規模は担保されたが、グロスマージンは急降下。その後は自社データセンターを拡充し、徐々に改善に向かっている。
彼らにとって今後最大の懸念は、急増した需要の「反動減」。どのような戦略を立てているか、昨日の記事でご紹介した。是非チェックしていただきたい。
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