事業内容
小田原機器は、運賃収受機器事業とシステム開発事業の2つの主要な事業セグメントを持っています。運賃収受機器事業では、路線バス用の運賃箱や非接触型ICカード対応のカード機器、キャッシュレス決済機器などを開発、製造、販売しています。また、これらの製品のメンテナンスサービスも提供しています。
運賃収受機器事業の主力製品には、即時計数式運賃箱や汎用型運賃箱、運賃箱用金庫、運賃箱用ソフトウェアがあります。即時計数式運賃箱は、整理券やカードの情報から運賃を自動で計算し、精算する機能を持ち、キャッシュレス決済にも対応しています。これにより、運賃収受業務の効率化を図っています。
システム開発事業では、ソタシステム株式会社と株式会社アズマが中心となり、ETCシステムや道路交通情報通信システムなどの交通インフラ関連のシステム開発を行っています。また、車両位置情報システムや外観検査システムなど、IoTやM2Mに関連する組込機器の開発も手掛けています。
小田原機器は、キャッシュレス決済のニーズに応えるため、マルチ決済端末「BOSS」やキャッシュレス運賃収受対応タブレット端末「SELF」を展開しています。「BOSS」は車載機器と連動し、省スペースで操作性を向上させる一方、「SELF」は単体で導入可能で、拡張性の高いシステムです。
その他の機器としては、整理券発行機や液晶運賃表示器、音声合成装置などがあります。これらは、バスや鉄道、空港向けの表示案内装置としても利用されています。また、精算装置やデータ管理サーバーを通じて、運賃収受システム全般を管理するソフトウェアも開発しています。
小田原機器は、アフターサービスとして製品の修理や仕様変更、保守用部品の販売を行っています。保証期間内外の修理やオーバーホール、保守契約による出張定期点検など、顧客のニーズに応じたサービスを提供しています。
経営方針
小田原機器は、2025年を最終年度とする中期経営計画を策定し、収益の安定化と持続的な成長を目指しています。この計画では、特に「成長事業の創出」と「継続的な成長投資の実行」の2つを重点施策として掲げています。
成長事業の創出においては、新規事業推進室が地域社会の活性化に貢献するソリューションを展開しています。具体的には、小田原市地域ポイントアプリの運用を開始し、地域のニーズに応える新たな事業の道筋をつけています。
また、少子高齢化や乗務員不足といった課題に対し、バス事業者の経営効率向上を支援するデータサービスソリューションを提供しています。これにより、移動需要の予測や運行計画の最適化を図り、公共交通サービスの維持を目指しています。
継続的な成長投資の実行では、研究開発費を増加させ、新紙幣対応の運賃箱用紙幣検定機を自社開発しました。これにより、納期短縮と売上総利益率の改善を実現しています。さらに、次世代の運賃収受機器やキャッシュレス決済端末の開発にも注力しています。
売上総利益率の向上を背景に、ITインフラ投資を進め、製造プロセスの効率化を図っています。具体的には、製番方式からMRP方式への移行や仕様の標準化を進め、売上原価率の低減を目指しています。これにより、持続的な成長基盤を強化しています。