ジェフ・ベゾスが宇宙ベンチャー「ブルーオリジン(Blue Origin)」に着手したのは2000年。Amazonが今のような巨大企業に成長するより遥か昔のことだ。
ブルーオリジンは10年以上にわたり、新型ロケット「New Shepard」のテストを重ねた。15回にわたる無人フライトを成功させ、今回初めての有人飛行に挑戦。創業者ジェフ・ベゾスと弟のマークを乗せることになった。
今後の展望は、イーロン・マスクの「SpaceX」やリチャード・ブランソンの「Virgin Galactic」と同様、富裕層向けの「宇宙旅行」ビジネス。その先に見据えるものは更に壮大だ。
ベゾスは高校時代から、「人類がこのまま増え続けるなら、宇宙に出ていく以外に方法はない」と考えていた。今もそう信じ続けているという。
プリンストン大学の在学中には、宇宙開発のパイオニアとして知られるジェラード・K・オニール氏から強い影響を受けたと言われる。オニール氏は1969年、宇宙空間に人類の居住地をつくる「スペースコロニー」構想を発表。アニメ『ガンダム』にも着想を与えたとされる。
火星への移住を掲げるイーロン・マスクとの違いは、他の惑星を移住先とは考えていない点だ。重力など諸条件が違いすぎるとし、遠心力によって機械的に重力を再現するというアイデアを主軸においている。
「人類は地球よりも大きな存在だ」とベゾスはいう。太陽系には潤沢なリソースがあり、宇宙に出れば人類は「1兆人」に拡大できるとする。そうすれば、1,000人のモーツァルトと1,000人のアインシュタインを輩出できると豪語した。
これが実現できれば、信じられないような文明を作り出せる。こうしたアイデアに本気でワクワクしているからこそ、AmazonのCEOを辞めてでも本腰を入れようと考えたのであろう。