2021年06月28日 07:00
初となる参画企業
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長期的に考えることをコンセプトとして2019年に設立された「Long-Term Stock Exchange(LTSE)」。SEC(米証券取引委員会)にも承認された証券取引所だ。

立ち上げたのは「リーンスタートアップ」の著者として知られるエリック・リース氏。2011年に同著の中で触れ、2015年頃から立ち上げに向けて動き出した。

株式市場では、短期的思惑と長期目線での経営が対立することが少なくない。そんな資本主義のあり方に、LTSEは疑問を呈する。

2020年には取引所の正式ローンチも発表。上場してくれる企業の誘致に向け、取り組みを本格化する。

2021年6月24日、上場企業の「Twilio」「Asana」がLTSEに上場することを発表。どちらも注目のSaaS企業であり、両社のCEOともLTSEの株主(持分は1.5%未満)でもある。

LTSEに上場するには、経営メンバーの報酬体系や従業員・顧客との関係など、特別に要求される指針がある。上場はNASDAQやNYSEとの「二元上場(Dual Listing)」が前提だ。

リース氏は、昨今におけるESG全体の盛り上がりを追い風とみる。LTSEに上場することで、ESGの代表的企業としてアピールできるというわけだ。

実現に向けたハードルの高さも指摘されてきた。四半期の業績予想の開示を禁止したりといった野心的な枠組みは諦めざるを得ず、2021年まで上場時の手数料を半額 にして傘下企業を誘致する取り組みを続ける。