2021年06月17日 07:00
業績はソリッドじゃない
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「全固体電池」を開発するソリッドパワー(Solid Power)がSPAC(特別買収目的会社)との合併を通じて上場する。

一般的な電池には「電解質」と呼ばれる液体が含まれる。リチウムイオン電池には可燃性の有機電解液を用いるため、爆発したりもする。

そこで電解質を「固体」にしようというのが全固体電池だ。様々な化学的利点があり、電池に次なる飛躍をもたらすとして期待されている。一方、実現には技術的課題が大きい。

ソリッドパワーは2012年に設立。2019年から試験製造を始め、すでに62名の従業員がいる。CEOのダグ・キャンベル氏は連続起業家で、以前は宇宙空間での展開物を開発する「Roccor」の経営も担った。

ソリッドパワー

実用化されればバッテリー寿命、安全性、費用などあらゆる面で革命を起こせるという。中でも注目は電気自動車への活用。航続距離の大幅な伸張が期待されている

資本参加するBMWは2023年までに25の電気自動車(BEVおよびPHEV)を完成予定。同じくフォードも、EV開発に2025年までに最低220億ドルを投じるなど本腰を入れている。

アップサイドとして強調するのは電気自動車の普及だ。2028年の売上高は16.7億ドルに膨らむという。評価額は12億ドルを見込む。しかし、2021年の売上予想は200万ドルに過ぎない。

当たった時のインパクトは大きいが、こんなもの一般投資家に評価しろというのは、なかなか酷な話ではある。