Amazonが勝ちきれない領域
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米国で小売業を営む者なら、誰もが恐れる存在。それがAmazonだ。
Amazonが今も大きなシェアを握れていない領域はいくつかあるが、その一つが「食料品」である。
取り組んでこなかったわけではない。2006年にはプライム会員向けに食料品通販サービスを開始。以来、14年にわたって展開してきた。
しかし、米国における市場シェアは1.4%程度。これに加え、買収したホールフーズ・マーケットが1.2%の市場を握る。
ウォルマートは22%、クローガーが12%ものシェアを握る。4位のアルバートソンズまでが5%を超えるなど、伝統的なプレイヤーが強いジャンルだ。
もちろん、未来永劫その状態が続くとは限らない。企業としての投資余力はAmazonが圧倒的。巨大な物流投資があっても、営業利益率は6%。安売りがキモとなる小売業では大きな優位性だ。
全米中に張り巡らされた物流ネットワークを、今はまだ生鮮食品に特化させていないだけとも言える。プライム会員の需要を掴む能力にも優れ、本腰を入れたら脅威なのに変わりはない。
もっとも、生鮮食品に特化した物流網を作るのは、いかにAmazonといえど大変だ。近年は独禁法を見張る規制当局の監視も強い。市場への支配力を強めること自体、慎重にならざるを得ないというのが本音だろう。