2021年05月20日 07:00
ティム・クックの憂鬱
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Appleが顧客データを中国の国有サーバーに保管していたと17日にNYTimesが報じた。今後波紋を呼びそうだ。

保管に関する取り決めは2017年、中国の国内法に対応して結ばれた。対象は中国内の消費者に限られるが、Appleは「プライバシー尊重」を世間にアピールしてきた。イメージの悪化が懸念される。

報道によると、Appleは他の国で使っている暗号化技術について、中国では当局の求めに応じ使っていないという。「Appleは中国政府による検閲システムの歯車」と辛辣だ。

Apple

Apple側は「中国においても顧客データの取り扱いを妥協したことはない」と声明を出した。一方では「法令遵守」についても触れ、現地当局の要請に従ってきた面があることも認めた。

現CEOのティム・クックは1998年にAppleに入社。サプライチェーン改革を主導し、フォックスコン(台湾)などに製造プロセスの大半をアウトソーシングするモデルを作り上げた張本人だ。

声明には「決定はいつも簡単ではなく、法律自体に賛同できないこともある」とも書かれた。ティム・クックは公に「中国の法令には賛同できないこともあるが、それでもAppleがある中国の方がいい」と述べたことがある。