Amazonが創出した価値
Shutterstock
4月15日、Amazonが2020年の年次報告書を公表。退任予定の創業者ジェフ・ベゾスにとっては、CEOとして最後の「株主への手紙」となる。
冒頭でベゾスは、1997年のIPO以来Amazonが創り出してきた「価値」について言及。分かりやすいのは時価総額である。丸々1.6兆ドルもの金額が生み出された。
創出価値の合計
もっとも、時価総額は「未来への期待」を織り込んだ数値だ。すでに実現した経済的アウトプットを表す「純利益」は2020年、213億ドルだった。
従業員についても同様の計算ができる。雇用する人数は今や130万人にのぼり、2020年には800億ドルを支払った。福利厚生や給与税を含めると、総額910億ドルにのぼる。
中小のサードパーティ・セラーは今や190万を超え、取扱額の60%近くを占める。社内の推計では、2020年に稼いだ利益は250億ドルから390億ドルの間だという。
Amazonでのショッピングでは「時間の節約」という効果もある。購入の28%は3分以内、半分は15分以内で完了する。一般的に、買い物には通常1時間かかるとされる。毎週2回の買い物がAmazonによって代替されると考えると、年間の節約時間は75時間を超える。
こういった計算を一つずつ行うと、Amazonは2020年に3,010億ドルもの経済的付加価値を創出したことになる。もちろん、全ての価値が金銭で計れるわけでもない。
サバイバルの本質
ベゾスは、リチャード・ドーキンスの著作を引用。生物は死ぬと、周囲の環境と均一になる。反対に生きるとは、環境の均衡圧力に抗い続けることだと指摘した。
人間社会においても「違うこと」が価値の源泉となるが、世の中は「均一になる」よう圧をかけてくる。Amazon自体も、それに抗い続ける努力が必要だと訴えた。