Siriのお母さん
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先ほど、Microsoftがニュアンス(Nuance)買収を発表。一株あたり56ドルを支払い、負債を含めて197億ドルでの巨額ディールとなる。
先月にはゲームメーカー「Zenimax」を75億ドルで買収したほか、直近ではDiscordとの交渉も噂された。近頃のMicrosoftは大きな動きが目立つ。
Microsoftにとっては2016年のLinkedIn(270億ドル)以来、史上二番目に大きな買収になる。領域特化型のクラウドソリューションを強化する戦略で、ニュアンスは文字通りうってつけの存在だ。
Hey, Siri。あなたの声の主は?
ニュアンスは1992年に「Visioneer」の名前で創業。1999年には「ScanSoft」へと社名を変え、2005年には「Nuance Communications」となった。
当初は画像ソリューションに特化していたが、2001年には買収を機に音声マーケットに参入。2010年代に入ってから成長が鈍化したが、音声認識では随一の地位を誇る。
その技術はApple『Siri』の土台にもなった。デフォルトの音声は声優スーザン・ベネット氏のものだが、これを録音したのが2005年、まだ社名が「ScanSoft」だった頃だ。
現在、ニュアンス社の主力はヘルスケア産業向けだ。電子カルテに音声入力できるソリューションを提供し、50万人超の医師が利用する。2020年のヘルスケア売上高は9.15億ドルで、全体の61.9%を占める。