2021年04月10日 08:00
ファミリーオフィス
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連日話題の「アルケゴス」問題。野村やクレディ・スイス、みずほグループに至るまで、巨額の損失が取り沙汰されている。

アルケゴス(Archegos Capital Management)はいわゆる「ファミリーオフィス」。2013年に元ヘッジファンドマネージャーのビル・フアンによって創立された。

名前の通り、裕福な家族が資産運用などを目的として運営するのがファミリーオフィスだ。金融危機で規制が強化されたヘッジファンドとは対照的に、あくまでプライベートなので開示義務が緩い。

アルケゴス関連

アルケゴスは米バイアコムやディスカバリーといった銘柄にレバレッジを利かせてポジションを構築。ところが3月後半にかけて株価は急落、追加証拠金を入金できず今回の騒動につながった。

一部報道によれば、アルケゴスの運用資産は100億ドル規模にのぼっていたという。システム全体を揺るがす問題ではないと見る向きが多いが、安心してよいのかは疑問だ。

今回の騒動は、ファミリーオフィスの膨張と過大なレバレッジ取引が背景にある。プライベートであるゆえに全貌は見えにくい。

こうした家族の保有資産は、今やプライベート・エクイティとベンチャー・キャピタルの合計額を上回るとも言われる。2019年時点で総額約6兆ドルにのぼったという報告もある。

パンデミック以来、米国ではビリオネアの資産が44%増えたとされ、一方では8,000万人を超える人々が仕事を失った。今回のニュースも、こうしたトレンドと無関係とは思えない。