名門の転落
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オンキヨーホームエンターテイメントが7月末に上場廃止となる見込みだ。2021年3月末時点で2期連続の債務超過となり、ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触する。
2021年3月期の業績見通し
- 売上高は前年比59.5%減の88.3億円
- 営業損益は40.6億円の赤字(前年は53.5億円の赤字)
- 純資産は23.2億円のマイナス(前年は33.6億円のマイナス)
創業は1946年。高品質な家庭向け音響機器で人気を集め、1980年代には「ミニコンポ」ブームをけん引した名門だ。
業績が本格的に傾き出したのは2000年代半ば頃。消費者はモバイル端末に直接音楽をダウンロードするようになり、AV機器の必要性は薄れていく。
起死回生をかけ、2015年にはオーディオ御三家と呼ばれるパイオニアの音響事業を買収。 統合効果で2017年度に黒字転換を果たしたが、市場縮小には抗えず赤字体質は続いた。
資金は底をつきかけ、2019年には祖業のAV機器事業を米同業に売却すると発表。 結局条件が折り合わず破談に終わり、2020年3月期に1度目の債務超過に陥った。
投資ファンド「EVO FUND」に対し数度に渡って新株を発行するも、株価の低迷を背景に調達額は想定を下回る。コロナ禍の巣ごもりでAV機器の受注は増えたが、生産工場への支払い余力は残っておらず商品供給ができなかった。
2021年1月には臨時株主総会を開き、最後の望みとして再びEVO FUNDへの新株予約権の割り当てを決議。厳しい財務状況などを理由に行使は進まず、2期連続の債務超過が決定した。