成長するEC市場を支える「ECカート」関連銘柄5選

Hamee

EC市場の成長が加速する中、オンラインでの事業展開はあらゆる規模のビジネスにとって必須の戦略となっています。

このデジタルシフトを力強く後押しするのが、ネットショップの開設・運営から、集客、顧客管理、複数チャネルの統合、バックオフィス業務の自動化までを網羅するECプラットフォームの存在です。

大規模EC向けの高機能システム、個人や小規模事業者でも手軽に始められるサービス、特定業界や特定課題に特化したソリューションなど、多様なニーズに応えるべく進化を続けています。

本記事では、こうしたECプラットフォームを提供する上場企業数社に焦点を当て、その独自の強みや事業戦略を深掘りします。

伴走型支援に強みを持つ「ソフトクリエイトホールディングス」

ソフトクリエイトホールディングスは、ECソリューション事業とITソリューション事業を報告セグメントとし、ITソリューション・サービスの提供を通じて、顧客企業の事業活動を支援する企業グループです。

主力となるのは、ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」であり、BtoCやBtoBを含む幅広いビジネスモデルに対応しています。

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クラウド型の「メルカート」は、導入のしやすさを特徴とし、スピーディーなEC立ち上げを支援。ビジュアルマーケティングツール「visumo」は、ECサイトの表現力向上に活用されています。

また、ECと実店舗をつなぐ予約管理システム「RESOMO」は、オムニチャネル戦略を推進する企業の顧客体験のデジタル化をサポートします。

同グループの強みは、これらの多様なサービスラインナップに加え、開発・マーケティング専門部隊による伴走支援体制にあります。サイト構築後の運用サポートも提供し、顧客のEC事業運営を支援しています。

近年では、生成AI関連技術を取り入れた新機能開発にも注力するなど、技術革新にも取り組んでおり、EC市場の進化に対応する姿勢を見せています。

>>ソフトクリエイトホールディングスの企業情報

「かんたんさ」で個人の挑戦を支える「BASE」

BASEの中核となるのが、個人やスモールチームを主な対象としたネットショップ作成サービス「BASE」です。「BASE」は、専門知識がなくても簡単にネットショップを開設・運営できることが特徴です。

初期費用や月額費用が無料から始められる料金プランも用意され、多くの個人事業主や小規模なチームにとって、オンラインでのビジネス展開のハードルを大きく下げました。

加えて、独自の決済システム「BASEかんたん決済」や、最短10分での入金を実現する「最速振込」など、ショップオーナーの運営をサポートする機能を提供しています。

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同社が提供する購入者向けショッピングサービス「Pay ID」は1,600万人以上の登録者を抱え、ショップの集客・販促活動に利用できるプラットフォームです。

他にも、ショップオーナー向けの金融サービス「YELL BANK」も展開するなど、EC運営を多角的に支援する仕組みを構築しています。

個人やスモールチームなど230万ショップに利用されている「BASE」は、ストアフロント型ECに特化したサービスを提供しています。近年では、M&Aも活用し、事業拡大を進めています。

>>決済サービスのPAY.JPが牽引する「BASE」二つの軸で成長戦略を展開

EC事業者のバックオフィス業務を支援する「Hamee」

Hameeは、EC事業者の運営課題に対応するプラットフォーム事業を主力の一つとしています。その核となるのが、複数のネットショップのバックオフィス業務の自動化・効率化を目的としたクラウドサービス「ネクストエンジン」です。

「ネクストエンジン」は、楽天市場やAmazonといった主要ECモールや自社ECサイトなど、複数の販売チャネルにまたがる受注処理や在庫状況の一元管理を支援します。

これにより、EC事業者はバックオフィス業務の負担軽減が期待でき、他の業務にリソースを配分しやすくなります。

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同サービスの特徴の一つは、Hamee自身がEC事業者として培ってきた経験とノウハウが反映されている点です。現場のリアルな課題解決から生まれたシステムであり、多くのEC事業者に利用されています。

また、40以上の国内カート連携システムとの連携など、幅広いEC環境への対応力も有していることも特徴だと言えます。

プラットフォームセグメントでは、「ネクストエンジン」に加え、ECコンサルティング、ふるさと納税業務支援「ロカルコ」、メーカーと小売店を繋ぐ卸売マーケットプレイス「エンサーモール」なども展開しています。

>>Hameeの企業情報

ECビジネスのプラットフォームを提供する「コマースOneホールディングス」

コマースOneホールディングスは、EC事業者のためのビジネスインフラとなるプラットフォームを提供する企業グループです。

同社は「テクノロジーを活用する人の力を最大化させるプラットフォーム」の実現をビジョンに掲げ、ECサイト運営に必要なあらゆるサービスをワンストップで提供することを目指しています。

グループの中核を担うのが、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」。一般的なSaaS型ECサイトの利便性に加え、デザインのカスタマイズ性が高い点が特徴で、ブランドの世界観を重視するアパレルや雑貨、コスメ業界などで利用されています。

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顧客との関係構築をサポートする機能や、実店舗とECサイトのデータを一元管理するオムニチャネル対応も特徴の一つです。

さらに、複数ネットショップの受注・在庫管理の一元化を支援するパッケージソフト「通販する蔵」や、スマートフォンでライブ配信が可能なツール「Live cottage」の提供を開始するなど、EC事業者の多様なニーズに対応するソリューション開発に取り組んでいます。

コマースOneホールディングスは、傘下の事業会社間の連携を強化し、ECサイト構築から運営支援、マーケティング、コンサルティングまで、支援領域の拡大を図っています。

>>EC事業支援でGMV3,000億円超「コマースOne HD」が新規上場へ

“自社本店EC”支援に注力する「Eストアー」

Eストアーは創業以来、一貫して企業の「自社本店EC」支援を基本戦略とし、EC支援市場における早期からの事業者の一つです。

同社は日本でショッピングカートの提供を初期に開始するなど、IT社会の変化に対応し、EC事業者の事業展開を支援してきました。

主力サービスであるECサイト構築システム「ショップサーブ」は、累計11万社を超える導入実績があり、長年の運用で培われたノウハウを蓄積。これに加え、より大規模で複雑なECサイトに対応するカスタマイズ型システムも提供しており、企業の規模やニーズに合わせたEC基盤の構築を支援します。

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同社の特徴は、ECサイトのシステム構築から決済サービスの提供、集客や販促といったマーケティング支援、さらにはコンサルティングに至るまで、EC運営に関連するサービスをグループで一貫して提供できる点にあります。これにより、情報を連携させ、データに基づいた施策展開を行いやすい体制を整えています。

近年では、M&Aを活用し、グループ体制を強化しています。さらに、ECのノウハウやシステム、人材、資金などを提携企業と連携させるハンズオンDX事業(HOI事業)といった新たな取り組みも開始しています。

「自社本店EC」でのブランド訴求や顧客との直接的な関係構築を重視する企業に対し、Eストアーはシステム提供に加え、事業運営を支援するサービスを提供することで、独自のポジションを築いています。専任担当によるサポート体制も特徴の一つです。

>>Eストアーの企業情報