【VTuber関連銘柄】"技術革新"や"プラットフォーム戦略"など各社の動向を探る

近年、VTuberは、エンターテイメント市場において急速な成長を遂げ、新たなカルチャーとして確固たる地位を築いています。
ライブ配信プラットフォームを主戦場に、個性豊かなキャラクターとリアルタイムなコミュニケーションを通じて、国内外で熱狂的なファンコミュニティを形成。
この市場拡大に伴い、VTuber事務所の運営企業だけでなく、ライブ配信技術、CG制作、メタバースプラットフォームを提供する企業など、多岐にわたる関連企業が注目を集めています。
本記事では、こうしたVTuber関連銘柄の動向を、各社の具体的な取り組みや事業モデル、そして将来性とリスク要因の観点から分析していきます。
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カバー株式会社は、2016年設立のエンターテイメント企業です。
VTuberプロダクション「ホロライブプロダクション」運営を主力とし、国内外に多数のタレントを擁します。
事業は、ライブ配信中心の配信・コンテンツ、大規模なライブ・イベント、グッズ等を手掛けるマーチャンダイジング、企業案件等のライセンス・タイアップの4領域で構成されます。
同社の特徴として、世界的な人気を持つVTuberが多数所属している点が挙げられます。
国内のホロライブやホロスターズに加え、hololive English、hololive Indonesiaといった海外グループも成功を収め、グローバルで強固なファンベースを構築。
結果として、世界トップクラスのYouTubeチャンネル登録者数を誇るVTuberを複数擁しています。
同社は、IP活用戦略にも注力しています。
自社ECサイトでのグッズ販売 、大規模3Dライブイベント開催に加え、「hololive OFFICIAL CARD GAME」もヒットしています。
また、メタバースプロジェクト「ホロアース」の開発を進め 、3DやAR技術で新たなファン体験の創出を図ります。
カバーの今後の事業展開において、ホロアースの動向、海外展開、IPビジネスの多角化などが注目されるポイントと言えるでしょう。
その一方で、タレント個人への依存、プラットフォーム規約変更、制作技術やコスト、競合激化もリスク要因でしょう。
>>カバーについてもっと詳しく:VTuber事務所『ホロライブ』で売上予想180億円!運営元カバーが新規上場へ
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ANYCOLOR株式会社は、2017年創業のエンターテイメント企業です。
VTuberグループ「にじさんじ」運営を中核に、国内外で160名超のタレントがYouTube等で活動。
事業はライブ配信、グッズ販売、イベント、企業案件の4領域を主力とし、これらが連携してファンへ多角的な体験を提供、エンゲージメント構築を図っています。
同社の競争優位性は、多様なタレント陣と、「ANYCOLOR ID」登録者数にも表れる強固なファンコミュニティ形成にあると言えるでしょう。
タレントの創造性を尊重し、魅力を引き出す企画から制作、プロモーションまでを一貫してサポートするマネジメント体制が熱烈なファン支持の源泉です。
加えて、海外展開では「NIJISANJI EN」による英語圏進出が目覚ましく、グローバルでの地位を固めつつあります。
モーションキャプチャー技術やLive2D等の技術を駆使した豊かなキャラクター表現も同社の強みの一つとされています。
今後の事業展開として、同社はVTuberの活動領域拡大によるIP価値向上、XR等の新技術への対応、更なる海外市場の開拓などを検討している模様です。
その一方で、事業リスクとしてタレント個人への依存構造、プラットフォーム規約変更、レピュテーションリスクも考慮されます。
これらのリスクに対して、同社はライバーの発掘・育成強化、プラットフォーム依存度低減に向けた多様な収益源確保や移行可能な体制構築などに取り組んでいます。
>>ANYCOLORについてもっと詳しく:VTuberグループ「にじさんじ」運営、ANYCOLORが新規上場へ
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モイ株式会社の主力事業は、ライブ配信コミュニケーションプラットフォームサービス「ツイキャス」の運営です。
配信者バーチャル化支援プロジェクト「ツイキャス100V」を開始するなど、多様な配信者が利用できる環境を提供しています。
特別な機材不要の手軽さが支持され、10代・20代の男女を中心にユーザーを獲得しています。
ツイキャスは、VTuberが利用できる機能を提供しています。
特に高価な機材不要でスマホから手軽に3Dアバター配信できる機能は、活動の参入障壁を下げています。
コメント機能やアイテム機能を用いてリアルタイムなコミュニケーションを楽しむことができ、これらの交流は配信者と視聴者のエンゲージメントを高めることにつながる可能性があります。
拡大するVTuber市場において、ツイキャスはVTuberが気軽に才能を発揮しファンと繋がる場として期待されます。
収益化支援機能は、配信者がより良い配信を行うサイクルを生み出すなど、クリエイターの活動を促進することにつながる可能性があります。
配信者にとっては、他大手プラットフォームと比較した集客力や収益性、サポート体制が選択の検討点となり得ます。
モイ株式会社としては、巨大SNSとの競争や外部API変更への対応が継続的課題です。
VTuber含む全配信者が安心して活動できる安全な環境維持・強化、そしてユーザーを惹きつける技術革新とコンテンツの質向上が、今後の持続的発展の鍵でしょう。
>>モイについてもっと詳しく:ツイキャス運営元の「モイ」が上場へ!その収益モデルを紐解く
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株式会社ユークスは、1993年設立のデジタルコンテンツ開発企業です。
家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機およびモバイル等向けコンテンツの開発・制作・販売を行う受託開発事業において、長年培ってきた技術力を強みとしています。
近年では、この技術力を活かし、独自のARライブシステムなどを通じて、新たなエンタテイメントの提供を目指しています。
同社のXR事業は、主にバーチャルキャラクターやバーチャル・シンガーのリアルタイムCGライブ制作・技術協力に携わっています。
人気IP「あんさんぶるスターズ!! DREAM LIVE」や「プロジェクトセカイ」等の大型ライブCG制作に関与し実績を構築。
XR事業においては、独自開発したARライブシステム「ALiS ZERO(アリスゼロ)」が活用されています。
これはバーチャルキャラクターの高品質なリアルタイムパフォーマンスを実現し、プロジェクトセカイのライブ等で活用されています。
AR技術との連携で、現実とバーチャルが融合した新体験を提供し、VTuberライブの表現力と没入感を向上させています。
ユークスの将来性は、拡大するVTuberライブ市場で、高度CG技術への需要増から成長機会が見込まれます。
一方で、対処すべき課題としては、ゲーム・遊技機事業における開発力強化、XR事業における「ALiS ZERO」の市場優位性維持のための研究開発、ならびに新卒・キャリア採用の強化などが挙げられています。
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monoAI technology株式会社は、オンラインゲーム開発技術を基に2013年設立されたXR技術開発企業です。
「先進技術で社会の未来を創造する。」を理念に、メタバースプラットフォーム「XR CLOUD」をOEM提供も含め展開。
VTuberのファンイベントや法人向け展示会等、多様なバーチャル空間ソリューションを提供し、大規模同時接続技術を強みとしています。
同社が提供するXR CLOUDは、数千人から数万人規模のユーザー同時接続を目指したエンジン技術を有しています。
この技術により、VTuberは仮想空間で大規模なインタラクティブイベント等を開催し、ファンとの新たなエンゲージメントを試みることが可能になります。
WebGL対応でブラウザアクセスも可能 、GPUクラウド活用で高品質な描画も特徴と言えるでしょう。
monoAI technologyは、AIとXR技術の融合による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。
コンテンツ開発の効率化・高度化を目指しAI-XR事業部を新設。
最新AI描画技術の研究や新デバイス対応も推進。
同社の将来性は、拡大が見込まれるメタバース市場で、VTuber関連含むバーチャル体験への需要増が追い風です。
技術革新とグローバル展開が鍵となるでしょう。
しかし、市場普及の不確実性や開発競争激化はリスクとして認識されています。
>>monoAI technologyについてもっと詳しく:メタバースプラットフォーム「XR CLOUD」で成長!monoAI technology創業者が語る仮想空間ビジネスで利益を出せる“うまい仕掛け"