大人もハマるカプセルトイ:関連銘柄のターゲット拡大戦略

何が出てくるかのドキドキ感、精巧なミニチュアを集める喜び、そして時にはクスッと笑えるユニークなアイデアとの出会い。
手のひらサイズのカプセルには、そんな凝縮されたエンターテインメントが詰まっています。
かつて子供たちの小遣いで楽しむものだったカプセルトイは、驚くほどクオリティが向上し、SNSでの共有文化とも相まって、今や世代や国境を超えて多くの人々を惹きつける大きな市場へと変貌を遂げました。
この活気あふれる市場では、強力なキャラクターコンテンツの活用、専門店の構築、大人も唸らせる企画力の追求、さらにはグローバルな視点での販売チャネル開拓など、各社が多種多様なアプローチで独自のポジションを確立しようと知恵を絞っています。
本記事では、そんなカプセルトイビジネスの最前線を走る国内上場企業たちに焦点を当てていきます。
バンダイナムコホールディングスは、多岐にわたるエンタテインメント事業を展開する中で、トイホビー事業の主要な柱の一つとしてカプセルトイビジネスに注力しています。
同グループの「ガシャポン」ブランドは、「回す」という行為に着目し、日本発の遊びとしてカプセルトイ市場で広く認知されています。
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「ガシャポン」では、人気アニメやキャラクターなど、グループが保有または活用する多彩なIP(知的財産)を活かし、新鮮さを意識した商品ラインナップの展開が見られます。
これらの製品は、グループ全体の事業戦略の一つである「IP軸戦略」と、創業以来の「ものづくり」へのこだわりに裏打ちされ、ユニークな体験価値の提供を目指しています。
バンダイナムコグループは「ガシャポン」というプラットフォームを通じて、国内外のファン層に対し、新しい驚きと楽しみの提供に努めており、カプセルトイ事業は同グループのトイホビー分野における一つの事業領域として位置づけられています。
>「IP軸戦略」で飛躍的な発展!バンダイナムコホールディングスの変遷
タカラトミーグループは、その多岐にわたる玩具事業の中でも、子会社の株式会社タカラトミーアーツを通じて「ガチャ」ブランドのカプセルトイビジネスに注力しています。
「ガチャ」は、日本におけるカプセルトイの先駆けの一つとして長い歴史とブランド認知度を有し、年間600種類以上にも及ぶ新商品の企画開発や、時代の変化や市場のニーズを捉え、ターゲット層の拡大を図る戦略が見られます。
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従来、主たるターゲットであった子供向け商品に加えて、近年では映画のキャラクターや国内外の人気IPを起用した、大人層にも訴求するコレクション性の高いアイテムを市場へ投入。この戦略により、10代・20代の若年層から30代・40代の子育て世代に至るまで、幅広い新規顧客層へのアプローチを行っています。
さらに、販売チャネルも従来の玩具店ルートに留まらず、大型商業施設や駅構内、さらには国際空港にガチャ専門店「GACHA MATSURI(ガチャまつり)」を出店するなど多様化させ、国内市場のみならずインバウンド需要への対応も進めています。
タカラトミーグループは、品質管理と安全基準に配慮した「ガチャ」商品を通じて、日本のカプセルトイ市場において、多くの人々に手軽な驚きと収集の楽しみを提供することを目指しています。
ブシロードは、その多角的な事業展開の中で、マーチャンダイジング(MD)事業の一翼としてカプセルトイビジネスを手掛けています。
この事業では、全国に設置されているカプセル玩具自動販売機に向けて、自社で創出・保有するIPのみならず、他社が権利を持つ多様なIPも活用したオリジナルグッズの企画から販売まで行っています。
ブシロードがグループ全体で培ってきた強みは、IPディベロッパーとしての長年の経験に裏打ちされたユニークな創造力と、それを市場に効果的に訴求する卓越したプロモーション力に集約されます。
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他社IPとの協業を通じて、それぞれのIPが持つ価値を高めることを目指す「プラットフォーム企業」としての戦略を推進しており、グループ内でのメディアミックス展開や、蓄積されたノウハウ、アライアンスネットワークを活かしたプロモーション戦略は、カプセルトイ事業の展開においても活用されています。
幅広い年齢層からの購入経験が報告されるなど、関心が高まるカプセルトイ市場において、ブシロードは独自のIPプロデュース能力と活用戦略により、新たな顧客層へのリーチとエンゲージメント構築を試みています。
>子会社には新日本プロレスも!ゲーム〜プロレスまで展開する「ブシロード」が上場承認
イオンファンタジー株式会社は、ファミリー向けアミューズメント施設の運営を主力事業としています。
同社はサービス事業の一環としてカプセルトイ関連ビジネスも手掛けており、主にイオングループ内外のショッピングセンターなどにその拠点を有しています。
同社はプライズ部門とカプセルトイ部門を含めたアミューズメント施設運営を国内事業として展開しています。
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イオンファンタジーは、「こどもたちの夢中を育み、“えがお”あふれる世界をつくる」という企業パーパスを事業運営の指針とし、人材育成と現場力向上に取り組んでいます。
アミューズメント業界全体は、余暇の多様化や少子化の進行、そして他社との競争激化といった事業環境の変化に直面しています。
株式会社ハピネットは、多岐にわたるエンタテインメント関連事業を展開しており、その中でアミューズメント事業の一翼としてカプセルトイビジネスにも注力しています。
具体的には、全国各地でのカプセルトイ自販機の設置・運営に加えて、カプセル玩具専門店「ガシャココ」の店舗運営も手掛け、多様化する市場のニーズへの対応を図っています。
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同社の事業運営における特色の一つは、中間流通業者として長年にわたり蓄積してきた豊富な経験と、効率化を追求した物流ノウハウです。
特に、玩具の商品管理に対応する自動化システム導入などの取り組みは、カプセルトイ事業における商品供給体制にも関連していると考えられます。
大人層やインバウンド観光客による需要の拡大といった市場環境の変化に対し、同社はアミューズメント事業において、カプセルトイ分野での取り組みを進めています。
エスケイジャパンは「キャラクターエンタテインメント事業」と「キャラクター・ファンシー事業」の二本柱で事業を展開しており、カプセルトイ関連はキャラクターエンタテインメント事業に含まれます。
この事業では、カプセルトイの企画・販売のほか、アミューズメント施設向けのプライズ商品も幅広く手掛けています。
同社の特色は、「新テニスの王子様」や「あんさんぶるスターズ!」など人気の他社IPを活用したコレクション性の高いアイテムを提供している点にあり、毎月のように新しいカプセルトイを市場に送り出しています。
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プライズゲーム市場やカプセルトイ市場が注目される中、同社は消費者の「何が出るかわからない」という期待感や集める楽しさに応える商品展開を目指しています。
また、キャラクター・ファンシー事業では、インバウンド需要を意識しつつ、店舗での販売展開も見られます。
エスケイジャパンは、国内の主要なアミューズメント施設運営企業との連携に加え、米国や中国の子会社を通じて海外市場への展開も検討しています。