転職エージェント銘柄：専門特化・DX戦略と成長リスク

働き方の多様化や労働市場の流動化が進む現代。
転職エージェントは個人のキャリア形成と企業の成長戦略を繋ぐ重要な社会的役割を担い、市場ニーズの変化に応じて絶えず進化を続けています。

近年は特定分野への専門特化が進む一方、AI活用などDX戦略によるサービス革新も加速しています。
グローバルな人材獲得競争への対応や、質の高いキャリア支援の提供も各社の重要な取り組みです。

しかし競争激化や景気変動、専門人材の確保は共通の成長リスクです。
本稿では変化する転職エージェント業界で、関連企業が如何に戦略を立て、課題に挑むのかを考察します。

“JAC Standard”に基づくプロフェッショナル人材の育成「株式会社ジェイエイシーリクルートメント」

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株式会社ジェイエイシーリクルートメントは、1988年3月に設立され、人材紹介事業と求人広告事業を核としています。
国内主要都市に拠点を展開し、連結子会社と共にグループを形成する一方で、世界11カ国での事業展開によりグローバルなネットワークを構築している点が特徴です。
同社グループは、これらの事業を通じて、人と企業、経済、社会の発展に貢献することを目指しています。

同社は人材紹介事業において、質の高いサービスの提供と企業および求職者双方の満足度向上を重要な目標として掲げ、これらを重視しています。
このため、コンサルタントの教育や増員に注力し、「JAC Standard」に基づくトレーニングを実施している状況です。

求人広告事業では、前課金型から成功報酬型へのビジネスモデルの見直しを図り、売上拡大を目指す方針が示されています。
また、人材紹介業の社会的な役割を認識しており、人的資本に関する情報開示を積極的に進めています。
特に、2025年3月には「人的資本に関する情報開示のガイドライン(ISO30414)」を取得しています。

将来に向けて、国内事業の拡大成長、海外事業の収益性改善を目指す一方で、事業運営には市場変動や特定の産業における求人減少といったリスクが伴います。
個人情報保護やのれんの減損なども重要な管理課題として認識されています。同社はこうしたリスクへの対応体制を整備しつつ、サステナビリティへの貢献として、GHGネット排出量ゼロ目標や多様性推進、健康経営などの活動に取り組んでいます。

＞＞ジェイエイシーリクルートメントについてもっと詳しく：海外案件比率59％！ハイクラスに特化した人材紹介で業績拡大を続ける「JACリクルートメント」

管理部門・士業領域に特化した人材事業を展開する「株式会社MS-Japan」

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株式会社MS-Japanは1990年4月に設立された企業です。
人材紹介事業を単一セグメントとして展開しており、特に一般事業会社の管理部門職種や、弁護士、公認会計士、税理士といった士業の転職支援に特化しています。

同社の主たる事業は人材紹介の「MS Agent」であり、士業・管理部門向け情報プラットフォームである「Manegy」等のメディア事業も運営しています。これらの連携に加え、ダイレクトリクルーティングサービス「MS Jobs」を統合した総合転職サービス「MS Career」では、UI/UXの改善やデータ活用等の技術的施策にも継続的に取り組み、将来的にはAIによるマッチング精度向上も視野に入れています。
さらに、Manegyはコンテンツやイベントを通じて潜在顧客との接点拡大にも活用されていると考えられます。

今後の成長戦略としては、管理部門・士業領域で培った豊富なデータの活用を通じた新たな収益の柱創出を目指し、自社プラットフォームを活用したBtoBプラットフォーマーとしての展開も模索しているとされます。
加えて、連結子会社であるFourQuarters Recruitment Pty.Ltd.を通じた海外人材事業の拡大も進めるなど、国内外での事業領域拡大の可能性を追求している動きが見られます。

一方、事業運営上のリスク要因も存在します。
世界情勢や為替変動といった経済環境の変化により、企業の採用意欲や求職者の転職マインドに影響を及ぼす点が挙げられます。
また、多数の個人情報を扱う事業であるため、個人情報保護法等の法令遵守は極めて重要となります。

＞＞MS-Japanについてもっと詳しく：リクルートの元トップ営業マンが創業！”管理部門”特化の人材紹介で利益成長を続ける「MS-Japan」

IT派遣や女性の転職など多様なサービスでキャリア支援「株式会社キャリアデザインセンター」

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株式会社キャリアデザインセンターは、キャリアアップを目指すエンジニア、営業職、そして女性を主要顧客とし 、求職者と求人企業双方へのソリューション提供に注力しています。
メディア情報、人材紹介、IT派遣といった多様なサービスを持ち、「type」「女の転職type」等を運営。

中途採用市場において、同社は総合的なソリューション提供能力を事業展開における特徴の一つとして位置づけています。
Web媒体を通じた求人広告掲載は主要な収益源となっており、市場変化に対応し、女性エンジニアの取り込み、関西エリアの拡販といった具体的な施策を実施。

人材紹介事業では新規顧客の案件開拓や、ITエンジニアを中心とした求職者の登録獲得・面談機会の強化を進め、成約率向上を目指す方針です。
IT派遣事業ではITエンジニア登録者獲得強化、新規顧客への案件開拓フォロー体制を強化。 無期雇用派遣ではエンジニア採用の強化や退職率抑制に注力しています。

事業を取り巻く環境には、景気変動の影響を受けやすい、Web媒体は競争激化しやすい、システム障害等のリスクが存在します。
一方、同社は中期経営計画の達成に向け、各事業で具体的な施策を推進しており、優秀な人材の確保・育成にも努めている状況です。

＞＞キャリアデザインセンターについてもっと詳しく：戦国時代真っ只中の人材業界！8期連続で増収を続ける「キャリアデザインセンター」

専門職人材サービスとグローバルな取り組み「株式会社クイック」

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株式会社クイックは、人材サービス事業、リクルーティング事業、地域情報サービス事業、HRプラットフォーム事業、海外事業を主要事業とする企業グループです。
中でも人材サービス事業はグループの中核であり、看護師や保育士といった専門性の高い職種への注力を特徴としています。

人材サービス事業においては、看護学生向け就職サイト「看護roo! 就活」が2024年5月に全面リニューアルされ、ユーザビリティや機能の改善が図られたとされます。
全国各地で「看護roo! 就活合同説明会」を開催するほか、TVCMやSNSを活用したプロモーションを強化し、ブランド認知向上と登録者獲得を目指している模様です。

リクルーティング事業では、顧客企業へ採用手法の見直しを含む提案を行うほか、他事業と連携し、求人広告代理やコンサルティング、ウェブメディア運営、イベントを通じた多角的な支援を提供しています。

また、海外事業は米国、メキシコ、オランダなどで展開しており、国際間の転職を希望者向けの「クロスボーダーリクルートメント」サービスに注力するなど、グローバル市場への対応を進めている点も特筆されます。

今後の労働市場は、コロナ禍からの経済活動正常化や特定分野での人材需要の高まりといった変化が見込まれる一方、事業運営には複数のリスクも存在します。
国内外経済の不透明感による企業の採用抑制の可能性や、看護師分野への注力による医療分野の市場変化や事業者間の競争激化などが挙げられます。