生活雑貨PB市場の銘柄:多様化する取り組みと各社の個性とは

私たちの暮らしに欠かせない生活雑貨。近年、プライベートブランド(PB)商品がその選択肢を大きく広げています。
機能性とデザイン性を追求した「無印良品」のようなブランドから、手頃な価格で日常を彩る「トップバリュ」や「ニトリ」、そして環境配慮を掲げる「セブンプレミアム」まで、各社が独自の強みを活かした商品を展開しています。
さらに、ファッション業界で培った感性を生活雑貨に落とし込む「アダストリア」や「パルグループ」、100円という価格でデザイン性の高いアイテムを提供する「セリア」など、多様な企業がこの市場でしのぎを削っています。
この記事では、それぞれの企業が私たちのライフスタイルにどのような価値を提供しようとしているのか、その魅力と個性に迫ります。
良品計画は、自社ブランド「無印良品(MUJI)」を展開する小売企業です。
無印良品は衣料品から生活雑貨、食品に至るまで、日常生活に不可欠なアイテムを幅広く企画・製造し、国内外の店舗およびオンラインストアを通じて提供しています。特に、生活雑貨は同社の事業の大きな柱の一つとなっています。
無印良品の生活雑貨は、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」という創業以来の3つの基本原則に基づき、シンプルで機能的なデザインと品質を追求しています。これにより、収納用品、キッチン用品、寝具、スキンケア製品、文具など、多岐にわたる商品群において、実質本位の価値を顧客に届けています。
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統一されたブランドイメージ、自社での企画開発能力、そして効率的な生産・物流体制こそが、無印良品の強みでしょう。
また、国内外への店舗展開に加え、近年はデジタル戦略を強化し、アプリケーションやEコマースを通じた顧客との接点拡大や関係性構築にも注力しています。
同社は、一貫した理念に基づく商品開発とブランド戦略により、国内外で生活提案型ブランドとしての評価を築いています。
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イオンの代表的なプライベートブランド「トップバリュ」は、食品から日用品、衣料品までカバーしており、中でも家具・インテリアを含む「HOME COORDY(ホームコーディ)」シリーズを取り扱っています。
寝具、収納家具、キッチン用品、さらにはアウトドア用品まで、生活空間をトータルコーディネートできる幅広い商品群を手頃な価格で提供し、「手軽に購入できる日常品」としての価値を訴求しています。
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また、顧客のニーズに応えるため、プライベートブランド商品の品質向上や、他社製品との差別化にも継続的に取り組んでおり、生活必需品分野での競争力を高めています。
「トップバリュ」は広範な事業規模を有し、その知見は生活雑貨分野の展開にも活用されています。同社は多様化するライフスタイルや価値観に対応しながら、生活雑貨領域での提案力強化に取り組んでいます。
セブン&アイ・ホールディングスは、プライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」を通じて、生活雑貨分野においても特色ある商品を提供しています。
セブンプレミアムは、食品から日用品まで幅広いラインナップを誇りますが、2017年からは生活雑貨に特化した「セブンプレミアム ライフスタイル」シリーズも展開。寝具、バス用品、インテリア雑貨、食品保存容器、洗剤といった日々の暮らしに欠かせないアイテムを取り扱っています。
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ブランドコンセプトには、『地球環境にも配慮し、確かな技術とこまやかな工夫を重ね、「自分らしくいられる」と感じながら未来に続く生活をお届けします。』という一文が含まれており、環境への配慮や最新技術を取り入れた商品企画が特徴です。
全国に広がる約2万店の店舗ネットワークは、新商品のテスト販売や顧客ニーズの収集を効率的に行うことを可能にし、その声をダイレクトに商品開発へ反映させる体制が整っています。
これにより、消費者の求める高品質な商品を、手に取りやすい価格で提供することを目指しています。
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ニトリホールディングスの「ニトリ」事業では、家具や収納用品、寝具に加え、キッチン用品やバス用品、インテリア小物といった多岐にわたる生活雑貨を自社で企画・製造し、全国の店舗およびオンラインストアで販売しています。
ニトリの生活雑貨は、「お、ねだん以上。」のキャッチコピーに象徴されるように、品質と価格のバランスを重視した商品開発が特徴です。
商品の企画開発から製造、物流、販売に至るまでのプロセスを自社グループで管理しており、キッチンツールや食器、タオル、カーテンといった日常的に使用するアイテムから、季節ごとの装飾品まで幅広く取り揃えています。
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さらに、原材料の調達から生産委託、さらにはロボット倉庫といった最新技術を導入した効率的な物流システムまで、サプライチェーン全体でコスト最適化を追求しています。
この体制が、手頃な価格でありながら品質の高い生活雑貨の提供を可能にし、多くの顧客からの支持を集める要因となっています。
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アダストリアは、「LOWRYS FARM)」や「niko and ...」、「GLOBAL WORK」といった多彩なファッションブランドを国内外で展開し、衣料品やファッション雑貨の企画・製造・販売を手掛けています。
同社は、ファッションで培ったノウハウを活かし、ライフスタイル提案の一環として生活雑貨分野にも事業を広げています。
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自社ブランド「LAKOLE」は、テーブルウェアやキッチン用品、インテリア雑貨、文房具といった日用品まで、幅広いアイテムを提供しています。
LAKOLEは特定の年齢層や性別に偏らず、全世代が手に取りやすい手頃な価格帯でありながら、アパレル企業ならではのトレンド感や洗練されたデザイン性が特徴です。同ブランドはショッピングセンターを中心に国内で店舗を展開しています。
株式会社パルは、パルグループホールディングスの中核を担うアパレル・雑貨企画会社として多様なファッションブランドを企画・展開。衣料品のみならず、生活雑貨やインテリア雑貨の分野にもそのクリエイティビティを広げています。
パルグループの生活雑貨を代表するブランドの一つが「salut!(サリュ)」です。同ブランドは「まいにちインテリア」をコンセプトに掲げ、日常生活に彩りと楽しさをもたらすようなデザイン性の高いアイテムを提案しています。
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テーブルウェアやインテリア雑貨、収納用品といった、暮らしを豊かにする幅広い生活用品を展開しています。主に公式通販サイトである「PAL CLOSET」や実店舗で展開され、リーズナブルな価格設定で提供されています。
子どもから大人まで楽しめるような、リーズナブルでデザイン性の高いアイテムを幅広く提案しています。
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セリアは1987年に設立された、100円ショップ業界の大手企業です。
「Color the days 日常を彩る。」をコンセプトに、食器、キッチン用品、収納グッズ、文具、インテリア雑貨といった幅広いジャンルの商品を、税抜き100円という手頃な価格で提供しています。
商品カテゴリーは多岐にわたり、日々の生活に欠かせないアイテムから、暮らしに彩りを添えるインテリア雑貨まで、豊富なオリジナル商品群が魅力です。高度なシステムによる分析データやメーカーとの連携、お客様の声などを通じて、顧客のニーズやトレンドを敏感に捉えた商品開発が行われています。
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特にデザイン性に優れた商品を100円という価格で実現することで、「おしゃれな100円ショップ」としてのブランドイメージを確立。毎月500~1,000アイテムの新商品を展開することで、時流に合わせたアイテムも迅速に商品化しています。
また、日本製の製品や自社企画品を積極的に導入し、店舗全体の色彩計画にも細やかな配慮をすることで、顧客にとって魅力的な買い物空間を創出。さらに高度な情報管理システムを活用した効率的な仕入れ体制により、品質と価格のバランスを追求しています。