対立激化!ニデックvs牧野フライス『敵対的買収』の行く末やいかに

ニデック(旧・日本電産)は2024年末、工作機械メーカーの牧野フライス製作所に対し1株11,000円(前日終値比42%プレミアム)での株式公開買付け(TOB)を突如発表しました。
同社といえば、京都拠点の精密モータ大手で、創業者の永守重信氏が率いる積極的なM&A戦略で成長してきた企業です。一方、買収対象の牧野フライスは高精度な工作機械で知られる老舗メーカー。
経営陣の同意なき「敵対的買収」は日本では珍しく、市場や業界に大きな衝撃を与えています。本記事では、両社の戦略や企業文化の違いに注目し、この買収攻防の背景について考察します。
ニデックはこれまで数多くの企業買収を重ねて急成長してきました。創業者の永守氏は「世界一の総合モーターメーカー」を掲げ、1980年代から現在までに70件以上の買収を主導してきたと言われています。
2016年には仏モーターメーカーのラロッシェ(Leroy-Somer)を約12億ドルで買収し、直近では2023年に工作機械メーカーのTAKISAWA(滝澤鉄工所)を約166億円で買収するなど、M&A巧者ぶりを発揮してきました。永守氏は2023年に策定された経済産業省の新指針(後述)を支持し、「1兆円規模の案件も視野に入れている」と豪語するなど、買収による事業拡大に強い意欲を示しています。
こうしたM&A戦略の背景には、野心的な中長期目標があります。同社は2030年頃までに売上高を10兆円規模へ拡大する計画を掲げており、その半分近くを買収による成長で賄う狙いです。