生成AI時代に約659億円を投資!さくらインターネットが描くGPUクラウド戦略
さくらインターネット

生成AIの進化は、クラウドインフラに新たな地殻変動をもたらしています。膨大なデータを瞬時に処理し、複雑な推論を繰り返すAIモデルにとって、GPUをはじめとする演算リソースは、まさに「燃料」と言える存在。そんなリソースを提供するインフラ企業には、これまでにない関心が集まっています。

そんな中で大きな戦略転換に踏み出したのは、かつては「地味なレンタルサーバ屋」だったさくらインターネットです。2024年から数年間にわたり、総額約659億円を投じて、大規模なGPUクラウド基盤の構築に着手しています。その背景には、生成AIと経済安全保障をめぐる構造変化、そして「国産クラウド」への再評価といった複数の要因が重なっています。

国内インフラ市場では、AWSやAzureなどの外資系クラウドサービスが圧倒的な存在感を持っています。しかし最近では、行政や産業界の間で「国内に制御可能な計算基盤を持つこと」への関心が高まりつつあります。日本語の大規模言語モデル開発や、医療・製造業といった基幹分野でのAI活用を見据えると、国産クラウドが担う役割は小さくありません。

本記事では、さくらインターネットのIR資料をもとに、同社が描くGPUクラウド戦略の全体像を紐解いていきます。レンタルサーバ事業からの脱却、データセンターの積み上げ、そして生成AI時代への挑戦。過去・現在・未来を通して、国内企業による巨額投資が持つ意味を考察していきます。

「地味なレンタルサーバ屋」からの脱却

1990年代後半、日本のインターネット利用者が少なかった時代に、さくらインターネットはレンタルサーバ事業で創業しました。創業者の田中邦裕氏が学生時代に自作サーバを友人に貸し出したことが事業の原点。その延長で「さくらのレンタルサーバ」のサービス提供が始まりました。

2005年10月には東証マザーズに上場。かつては“地味なレンタルサーバ屋”という印象もありましたが、その後は事業の多角化と成長路線へとかじを切ります。上場以来、同社は売上高を約5倍に拡大。単なるホスティング会社からインターネットインフラ全般を手掛ける企業へと展開していきました。

上場後、さくらインターネットは自社データセンターの構築とサービス拡充に注力しました。2006年前後には東京・大阪で複数のデータセンター開設に乗り出し、2008年には双日との資本業務提携を締結、財務基盤を強化しました。

この提携により双日が親会社となり(2017年には公募増資により、その他関係会社に異動)、大規模案件への対応力や顧客基盤の拡大で協力関係を築きます。地方でのデータセンター建設やクラウド事業展開に向けた後押しにもなりました。

2011年11月には北海道石狩市に大規模自社データセンター「石狩データセンター」を開設、国産パブリッククラウド「さくらのクラウド」を開始しました。日本企業としていち早くIaaS型クラウド事業に参入した動きであり、従来のレンタルサーバやハウジング(設備貸し)主体のビジネスから転換する象徴的な打ち手です。

データセンター事業から国産クラウドへ

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