“定額全国住み放題” 多拠点生活プラットフォーム「ADDress」代表インタビュー

コロナ禍によりテレワークなど数々の新しい習慣が浸透した。その中の一つに住む家を変えながら日々の生活を送る「多拠点生活」がある。さまざまな場所での生活を、定額で気軽に楽しめるサービスを提供するのがアドレス(東京都千代田区)だ。

同社の多拠点生活プラットフォーム「ADDress」では、全国に約240ヶ所ある拠点の中から好きな場所を選び生活することができる。

月額4万4000円から利用でき、初期費用や光熱費を支払う必要はない。拠点はWi-Fiや家具家電など生活や仕事に必要なものを完備しており、すぐに多拠点生活を始められる。

同社はガイアックス出身の佐別当隆志氏が2018年に立ち上げた。自身が多拠点生活に興味を持っていたことに加え、全国で増加が続く「空き家」の活用方法を模索した結果、現在のサービスの形に行き着いた。

稼働率の低い宿泊施設や地方自治体などとも連携して徐々に拠点数を増やし、昨年には全国47都道府県をカバーした。会員数は2020年4月から10倍以上に伸び、着実に成長を続けている。

今回の記事では、同社の足元の状況や今後の展望を佐別当代表のインタビュー形式で紹介する。

多拠点生活のハードルは「初期費用」と「人間関係」

【略歴】さべっとう・たかし 2000年ガイアックス入社。広報・事業開発を経て、2016年一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し事務局長に就任。 2017年内閣官房IT総合戦略室よりシェアリングエコノミー伝道師を拝命。総務省シェアリングエコノミータスクフォース委員就任。2018年アドレスを設立。代表取締役社長に就任。

ーーなぜ多拠点生活に着目したのでしょうか。

もともと多拠点生活に興味を持っていたことがきっかけだ。シェアリングエコノミーの業界団体でも活動しており、人口減少が進む地方では空き家の増加が大きな問題となっていることを目の当たりにした。

民泊やシェアスペースとして運用するぐらいでは根本から解決できないと考えていた中で、空き家を活用して多拠点生活の機会を提供するサービスに行き着いた。

このサービスならば多拠点生活の希望者と地方が持つ課題の両方を解決できると思い、起業に踏み切った。

ーー多拠点生活の課題とは。

やはりコストの部分がハードルになっている。物件や家具・家電の初期費用に加え、光熱費なども発生する。また近隣の人間関係なども不透明なことが多い。

ADDressでは空き家を借りて物件を確保すると同時に、その地域に詳しい「家守」と呼ぶ物件の管理者を採用し、地域とのハブ役になってもらっている。初期費用や地域交流の課題をクリアした状態で、すぐに地方生活ができる環境を整えている。

家守は地元の方の紹介で採用していたが、最近は都会に住んでいる方からも家守になりたいという声が多い。ホームページで募集し登録者は1000人を超えている。元々サブスク会員だった方が家守になるケースもある。

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