「廃棄素材から作るジン」で世界を魅了、エシカル・スピリッツの今後の戦略とは
エシカル・スピリッツ

近年、種類が多様化し世界的にブームとなっているクラフトジン。業界でも注目を集めているのが、廃棄素材を使った製品を開発・販売するエシカル・スピリッツ(東京都台東区)だ。

日本酒のセレクトショップなどを手掛けていた山本祐也CEOらが、2020年に同社を設立。日本酒の生産工程で発生し廃棄される予定の「酒粕」を使ったクラフトジン「LAST」を発売した。

そのほか、廃棄予定のビールなどをジンに再生した「REVIVE」や、コーヒー出し殻から作る「COFFEE ÉTHIQUE」など計10種類程度の製品を展開。オンラインや小売店で販売する。

また、限定生産のクラフトジンを毎月届けるサブスクリプションサービスも手がけ、熱心なファンを取り込んでいる。

2021年には、再生型蒸留所「東京リバーサイド蒸溜所」を東京・蔵前に建設。蒸留所にはクラフトジンに特化したバーも構えるほか、東京・大手町でコーヒーとジンを取り扱うスタンドも運営するなど、自前での販路拡張も進める。

今後、特に注力するのが海外展開だ。8月にはサントリーホールディングスなどから2億円を調達。展開を加速し、近く欧州5カ国で販売を始める予定としている。

今回の記事では、山本CEOに聞いた足元の状況や今後の展望をインタビュー形式で紹介する。

世界のジンの市場規模は130億ドル

ジンは蒸留酒をジュニパーベリーで香り付けしたものだ。クセが少なくさざまざなカクテルのベースとしても使われる。蒸留酒の原料は、穀物などが一般的で、ウイスキーのように数年間熟成させる必要もない。

ジュニパーベリーに加え、ハーブや果物の皮などを配合し、個性あるものに仕上げているのがクラフトジンと呼ばれる。

ドイツの調査会社「Statista」によると、世界のジンの市場規模は2021年で約130億ドル。コロナにより一時的に減速したものの、2012年から約1.7倍に拡大しており、2025年には193億ドルにまで成長する見通しだ。

英国でジンがウイスキー超え、可能性に着目

【略歴】やまもと・ゆうや 一橋大学卒業後、野村證券やJPモルガン証券で投資銀行業務に従事。2012年からAKB48プロジェクトの運営会社AKSにて事業開発を担当。2013年より日本酒のセレクトショップ運営などを手がけ、2020年にケンブリッジ大学大学院でMBA取得。同年にエシカル・スピリッツを創業。

ーー廃棄素材からジンを作ろうと考えたきっかけは。

日本酒の生産工程で発生する「酒粕」は、酒の生産量の約半分に相当する。液体と固体という差はあれど、香りもほぼ同じでアルコールも含有し構成成分は日本酒とほぼ同じだ。

だが、取り扱う会社も少なくマーケットもほとんどないため廃棄量は多く、有効活用の方法を模索していた。

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