「車はコストから稼ぐ手段に」REXEV渡部社長が語るEVの可能性とは
レクシブ

スタートアップのREXEV(東京都千代田区)が、電気自動車(EV)を活用した電力調整の仕組み作りを進めている。

これまで車が発揮してきたのは主に「移動手段」としての価値だったが、同社はガソリン車にはないEVの「蓄電池」としての価値に着目。非常時の電源や、需給の逼迫時に貯めた電力を売る「調整力」としての活用を目指している。

カーシェアリングサービスなどで、全国でREXEVのシステムにつながるEVネットワークの構築を推し進め、2025年までに1万台を接続させる。それにより仮想発電所(VPP)を構築し、必要な地域にEVから電力を供給していく考えだ。

同社は新電力のエナリスで新規事業の担当役員などを務めた渡部健氏が2019年に創業した。大学時代から一貫して電力に携わってきたその道のプロだ。

前回の記事に続き、今回は渡部社長が語った事業戦略やEVの可能性をインタビュー形式で紹介する。

再エネ活用には「調整力」が不可欠 

【略歴】わたなべ・けん 住友商事にてプラント建設プロジェクト業務などを担当。子会社へ出向し発電所の開発業務などに従事した後、2009年にエナリス入社。執行役員 、取締役、常務取締役を歴任し、2019年1月にREXEVを設立。

ーーどんな問題意識からREXEVを立ち上げたのでしょうか。

前職のエナリスで働いているタイミングで、環境保全のために再生可能エネルギーを増やすという世界的な流れを受け、日本でも太陽光や風力を積極的に活用していく方針も打ち出され始めた。

ただ、太陽光や風力は人間の力でコントロールができず、バランスが取れていないと停電が起きてしまう。「電気が足りなかったら停電する」というのはイメージがつきやすいと思うが、逆もある。需要量が10しかないのに、発電量が20あるなど発電量が多いときも停電してしまう

電力は「同時同量」といわれ、常に発電と需要のバランスが取れてる状況になってるが、これが崩れることで停電が起こる。エアコンをつけると必要な電力が増えてそれに合わせて発電所の出力を調整する。追従するようなイメージだ。だから電気は在庫を作ることができない。

従来の火力発電は調整が可能なため、発電量が多くなりすぎるという問題は起こらなかった。

ゴールデンウィークなど大型連休では、工場などの電気使用量がグッと下がる。だが、晴れの日が続けばソーラーパネルは勝手に発電し続け、余った電気をどう処理するのかという問題が出てくる。

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