自律型の輸送ロボットやオンライン園芸学校も!スカイプマフィアまとめ(前編)

先日、エストニアにスタートアップが多い理由についてまとめました。
エストニアといえばSkype発祥の国であり、Skype出身者によるスタートアップが次々と設立されており、これは「スカイプマフィア」と呼ばれています。
今回のエントリでは、スカイプマフィアを8社ほどピックアップして、各社の事業内容を整理していきます。
1社目は、クラウドベースでのCRM(Customer Relationship Management)ソフトを提供する「PipeDrive」です。
PipeDriveは、Skype出身者3人により、エストニアの首都タリンで2010年に創業されており、累計調達額は9,120万ドルに達しました。
PipeDriveはタスク管理から目標管理、製品・サービスの販売レポート作成などの機能をもちます。
グレードに応じて料金体系は異なり、1ヶ月1従業員あたり12.5~59ドルの幅があります。
PipeDriveは170ヶ国以上に展開しており、そのうち16の言語に対応、ユーザー数は8万以上います。
またPipedriveは、Googleやトレロなど100以上のアプリと連携することができます。
参考:Pipedrive, a CRM and sales tool, raises $50M to take on Salesforce and Microsoft
(Starship)
2社目は、自律型の輸送ロボットを提供する「Starship」です。
Starshipは、Skype創設者であるAhti Heila氏とJanus Friis氏が、エストニアの首都タリンに2014年に設立しており、累計調達額は4,220万ドルに達しました。
(The First Starship Robot Delivery in Redwood City, California )
Starshipは半径3km以内にアイテムを運ぶことができる、自律型の輸送ロボットです。
小包みや食料品の配送をしており、顧客がモバイルアプリからリクエストした時点で、店舗や専門ハブから直接配送(配送時間は5〜30分ほど)されます。
2018年現在、10万キロの運転と100の都市でテストされています。
また、starshipはエストニアのフードデリバリーサービス『Wolt』で用いられています。
(Deekit)
3社目は、オンラインホワイトボードを提供する「Deekit」です。
Deekitは、Skype出身者4人により2015年に共同設立されており、累計調達額は54.37万ドルに達しました。
Deekitはオンライン上ホワイトボードが扱えます。
例えば、文字の書き込みやイラスト、付箋を貼ることも可能です。
チームでの共同作業も可能なので、イラストベースでブレインストーミングするチームなどに需要がありそうなサービスです。
(chilango)
4社目は、メキシコ料理のチェーン店を運営する「chilango」です。
chilangoの創業者は、Skype出身者であるEric Partaker氏とDan Houghton氏です。
2005年、彼らはSkypeのロンドン支社で一緒に働き始め、ある時にお互いがスペイン料理好きであることに気づきます。
しかし、ロンドンで美味しいメキシコ料理屋を探すことは非常に困難で、それは
「like finding a needle in a haystack(干し草の山の中で縫い針を探すようなもの)」と彼らは表現しています。
2007年ロンドンにchilangoを創業し、現在はイギリス内に10店舗を手がけています。
累計調達額は550万ポンドに達しています。
(JobToday)
5社目は、スペインを中心に4ヶ国で求人サービスを提供する「JobToday」です。
JobTodayは、Skypeでシニアプロダクトマネージャーを行なっていたEugèneMizin氏がスペインのバルセロナで2015年に創業。
EugèneMizin氏は、SkypeだけでなくEbay、Aol、CNETなどの他の大手ハイテク企業で働いていました。
一般的な求人アプリと使い方は同じで、雇用者側が求人募集を貼り出し、自分のプロフィールを登録し終えた求職者が応募するというもの。
その後、チャットでやりとりをして雇用契約をおこないます。
求職者数は400万人ほどで、そのうち79%が35歳以下、求職の応募は毎月500万件ほどです。
また、JobTodayは雇用者と求職者がマッチングするスピード感を大切にしており、雇用契約の70%が24時間以内にマッチングしているとのこと。
(eurostat)
ちなみに、失業率が高いことで有名なスペインの失業率は2018年現在15%ほど。
これは、EU連合の平均が7%であることを考えると、約2倍ほどあることがわかります。
一方、終身雇用の根付いている日本の失業率は、2018年10月時点で2.4%となっています。
(blossom)
6社目は、芝生や花壇用スプリンクラーの給水スケジュールをビッグデータをもとに最適化する「blossom」です。
blossomは、Skypeで6年、Microsoftで3年間働いたManrique Brenes氏が2014年に創設し、累計調達額は4万ドルほど。
blossomは、居住地域の天気予報、履歴データ、ユーザーのフィードバック等をその情報をすべて使用して、植生の種類や自分の好みに合わせたスプリンクラーシステムをプログラムします。
blossomを利用するには、居住地域の天気に関するリアルデータを収集するためのデバイス『blossom Contoroler』が必要で、このデバイスの価格は74.99ドルとなっています。
7社目は利用者にパーソナライズした財務・経済データを提供する「CityFALCON」です。
CityFalconは、Skypeで財務と戦略部門で働いた Ruzbeh Bacha氏によって2013年に設立、累計調達額は110万ドルとなっています。
(Products)
CityFalconは、PC・スマホ・音声コントローラーなど3つのデバイスで、株価や企業の業績などのデータを提供しています。
ユーザーは、「apple」や「nikkei225」といった自分の気になるキーワードを登録し、そのキーワードに関するデータや記事が随時更新されるというもの。
8社目は、園芸・骨董品・写真撮影についてオンライン上で専門家の指導を受けることができるサービスを手がける「MyOnlineSchool」です。
創業者はSkypeの戦略ディレクターを務めたElspeth Briscoe氏で、2009年にMyOnlineSchoolを設立しました。
ガーデニングに関して「どのような色彩の花がどのような印象を与えるのか」など園芸に関することを学べる「MyGardenSchool」や骨董品に関する「MyAntiqueSchool」、写真撮影術に関する「MyPhotoSchool」の3つのオンラインスクールを提供しています。
MyGardenSchoolでは、世界の園芸家による園芸指導(4週間のコース)を39ドル〜から受講できるサービスです。
各コースには、ビデオ講義、ダウンロード可能なコースノート、オンラインの教師や同級生とチャットする機能が含まれており、オンラインでも確かな講義が受けられることに定評があるそうです。
また、グローバルなe-learningの市場規模は2023年に650億ドルほどになると言われており、園芸講義以外にも一風変わったオンライン講義が現れるかもしれません。
今回はスカイプマフィアのうち8社をまとめていきました。
後編でもその他のスカイプマフィアを見ていこうと思います。