Q4の営業利益率57%!月間アクティブユーザー21億人に達したFacebookの2017年決算のまとめ(追記:ザッカーバーグの発言まとめ)
Meta Platforms, Inc.

Facebookの2017年の年次決算が発表されたので、取り急ぎまとめたいと思います。

まずは決算スライドから事業KPIをおさらいします。

1日あたりのアクティブユーザー数は14億人に増えていますが、そのうち北米地域は1億8400万人と、初めて四半期ベースで減少しています。

もっとも大きく増加しているのはアジア太平洋地域で、4億9900万人にまで増加。「その他」の地域も4億4100万人が毎日Facebookを利用しています。

月間アクティブユーザー数は21億2900万人。

やはり北米地域は横ばいですが、アメリカの人口が3億2321万人、カナダが3629万人なので、人口の66.4%がFacebookを毎月利用していることになります。

アジア太平洋地域のMAUは8億2800万人で、ブロックされている中国を除いてこの数字ですから驚異的です。

損益の状況:Q4'17の営業利益率は57%に

続いて、Facebookの収益状況を見てみます。



四半期売上高は129億ドルに達しています。前年同期から47%の増加。

そのうち127億ドルは広告収益で、残りが2億ドル弱となっています。

これは四半期ベースですが、年次ベースの業績グラフも確認してみましょう。

売上高は406億ドル、営業利益は202億ドルに達しています。成長はますます加速し、利益率はさらに上昇しています。

地域ごとの四半期収益比率を見てみましょう。

意外なほど変化がありませんが、逆にいうとどの地域もバランスよく収益を伸ばしているということがわかります。

ARPU(ユーザー当たり売上高)の推移です。

全体では6ドルを超えています。

北米(US & Canada)は驚異の27ドル近くに達し、ヨーロッパも9ドル近くとかなり高い水準です。

アジアを含む他の地域も増加傾向です。

ちなみに、2016年時点でTwitterは2ドル強、Snapchatは1ドルという水準ですからその凄さが伺えます。

コスト構造の年間推移です。

売上高の増大とともに利益率がどんどん上昇しています。研究開発(Research and development)には77億ドルを費やしているのですが、比率で見ると売上の19%となっています。

毎年Q4には利益率が上昇する傾向があるものの、今年は57%という驚異的な水準に達しています。Visaかよ。


財政状態と企業価値(EV)

決算スライドには出てこない財政状態について。

総資産は845億ドルに達し、そのうち現金同等物が80億ドル、有価証券が336億ドルに達しています。

買収によるのれんは182億ドルで昨年とさほど変わっていません。

資産の源泉である負債と自己資本です。

株式発行により調達した資本(剰余)金(Capital)が405億ドルともっとも大きくなっています。続いて利益剰余金が340億ドル。

この二つでほとんどを占めており、自己資本比率は9割近くを保っています。


ここで、Facebookの企業価値(EV)を計算しておきます。

株式時価総額は5430億ドル。

有利子負債はなく、現金と流動性有価証券の合計が416億ドルあるので、EVは5014億ドルということになります。

キャッシュフローの状況

続いて、キャッシュフローの状況も見ておきます。

営業キャッシュフローは242億ドル、投資キャッシュフローは200億ドルに達しています。

ただ、投資キャッシュフローの多くは有価証券の購入で、設備投資額自体は比較的少なく、フリーキャッシュフローは次のようになっています。

2017年には175億ドルと、前年から50%も増大しています。

Facebookの企業価値(EV)は5014億ドルなので、仮に同社を丸ごと買ったとしたら、29年で元が取れることになります。

これはもちろん現時点での値なので、もしFacebookのフリーキャッシュフローが2倍になれば15年、3倍に増えれば10年で元がとれる計算になります。

Facebookの時価総額は今や世界で5番目に大きなものとなりましたが、同社が稼ぎ出すキャッシュはそれと同じくらい爆発的に増大しています。

今後はこの成長がどこまで続くのか、また、ザッカーバーグの発言からも読み取れるようにFacebookという「場」自体がどのように変化していくのかが重要なポイントとなりそうです。


追記:ザッカーバーグの決算コールでの発言まとめ

2017年、Facebookを毎月使うユーザーは21億人を超え、そのうち14億人が毎日使っている。売上は去年から47%増えて400億ドルとなった。

かつてないほど人々に声を上げる手段を与え、家族や友人とのつながりを強め、7000万を超えるスモールビジネスの成長や雇用の創出を助けていることをとても誇りに思う。

しかし、2017年は大変な年でもあった。世界は心配し、分断を感じたが、それはFacebookでも起こった。

プラットフォームの乱用は国からの妨害を含めてあったし、偽や偏ったニュースの拡散とともにSNSの利用は議論を呼んだ。私たちはプラットフォームがどう使われているかを完全に理解する責任があるし、良いものを増幅し、悪いものを防ぐためにできることはなんでもやる。これこそが2018年の挑戦だ。

一つのもっとも重要なことは、私たちのサービスがただ楽しいだけじゃなくて、人々の生活や社会にとって良いものでもあるようにすることだ。

すでに、重要なアナウンスをいくつか行なっている。

一つ目は、意味のある社会的なやりとりを受動的なコンテンツよりも重視するということだ。そのほうがいいって研究で言っていた。ソーシャルメディアを人々のつながりに使うことで、より長期的な幸福感が生み出せる。受動的に動画や記事を読むことにはそんな効果はない。

考えてごらん。ニュースフィードに友人の写真があったら、ただ笑うだけじゃなくて、話しかけてつながりを深める機会になるし、人間としてそれは大事なことだ。しかし、ただ動画やニュース記事を見るときは、いくら面白くても、それについて会話しない限り、人との関係性を作ることにはならない。

コミュニティからも、つながりを強める瞬間こそがFacebookに期待する固有の体験だという意見も得た。しかし最近の数年で、動画やニュース、ビジネス投稿などがかなり多くなってしまい、最も重要な個人的な投稿が追いやられてしまった。

ニュースや動画やこれからも重要なものだ。しかし、受動的にコンテンツを消費し、つながりが薄くなるようなことはよくない。だから明確に言っておくが、つながりを強めることはFacebookで使う時間を増やすことよりも重要なことだ。

この変更の結果、友人や家族などからの投稿をより多く見るだろうし、時間を消費するだけのコンテンツは減るだろう。

これらの変更について明確の発表したので、Facebookの滞在時間やいくつかのエンゲージメント指標は下がることが予想される。しかし、同時に長い目で見れば、人々が実際にやりとりする量は増えることを期待している。

すでにこれが起きていることが分かっている。前回の決算発表で、動画は人々をつなげることに効果的だったと言ったが、こんにちはあまりにも受動的な体験であることが多い。バランスを取るため、意味のあるやりとりを促す動画に注力するつもりだ。第4四半期には、この辺りについて変更を行なった。

この変更により、第4四半期のFacebookでの滞在時間は5%ほど減少したと推計している。言い換えれば、1日あたり5000万時間も、人々がより良い時間を過ごせるよう削減したということだ。

もはや、私たちは滞在時間をエンゲージメントのベストな指標として使ってはいないが、Facebookでの時間が良いものになるようにする、ということに対してとても本気であることを示してくれる。

このプロセスを通じて、他の指標にも影響があると思う。例えば、この四半期に加えた改善により、一部の国では1日あたりにFacebookを利用する人数は減少している。

意味のあるやりとりに注力することで、Facebook上での時間はより価値あるものになると期待する。正しいことをして、深い価値を生み出せば、コミュニティもビジネスも長期的に強くなるといつでも信じている。

この場合、それは直感的にわかることだ。人々がたくさんやりとりをすれば、より強いコミュニティになる。そして、受動的に動画やニュースを見るよりもニュースフィードでやりとりする時間の方が価値があると分かっている。人々が何かを思いやる時、広告が出ても喜んで見るだろう。しかし、バイラルな動画だったら、広告を見つけたらスキップしようとするだろう。

だから、明確にしたいのは、最も重要な事業ドライバーは、滞在時間それ自体ではなく、会話とつながりの質であるということだ。だからこそ、意味のあるやりとりに注力することが正しいと私は信じている。

二つ目のアップデートは、Facebook上の情報が、購読者にとどまらず広く信頼された高品質な情報源によるものであることだ。例えば、ウォール・ストリートジャーナルやニューヨークタイムズなどは、仮に読まなかったり全てに賛同しないとはしても、高い品質のジャーナリズムであるとほとんどの人が確信している。一方で、フォロワーは激しいけど、コアな聴衆以外に広くは信頼されていないブログなどもある。そう言ったメディアを見る機会はいくらか減るだろう。

偽のニュースやヘイトスピーチなどを防ぐこともまた重要な注力領域だ。セキュリティと高潔さを守るため、人々とテクノロジーの両方に投資している。

コミュニティやオンラインのオペレーション、そしてセキュリティに関して働いている人は1.4万人ほどになり、1年前のおよそ2倍だ。

また、自殺をほのめかす投稿を検知し、助けが必要な100人以上に反応するのを助ける新しい技術も開発した。また、リアルタイム選挙に関する疑わしい投稿にフラグを立てたり、テロリストのコンテンツを取り除く人工知能システムを開発した。そのおかげで、ISISやアルカイダに関するテロの投稿は人力でフラグするよりも早く、あるいは誰も見る前に取り除かれる。

また、ニュースフィードでのフェイクニュースのランクを下げることで、閲覧数を80%減少させることもできてきた。それにより、悪質なユーザーが偽のニュースを流すことの経済的なメリットを破壊している。

最後に、私たちは広告の透明性に大きな努力を費やし始めた。あらゆる広告がより透明になるような法案が通るように議会を支援してきたが、それが有効になるまで待つつもりはない。すでに、FacebookやInstagram、Messengerなどで、誰が広告主なのかを見られるようにしている。まずはカナダで試して、この夏の中間選挙よりも先にアメリカに導入したい。

前四半期に言ったように、これらの投資が、他の投資のどれよりも私たちの収益性に大きなインパクトを与える。しかし、滞在時間に関する変更と同様、長期的により強いコミュニティを作ることに役立つはずだ。

さて、より強いコミュニティを作ることは、今後3年、5年、10年のプロダクトロードマップにも適用される。

次の3年で、動画は引き続き成長するだろう。だから、動画の体験が家族や友人、グループとつながることを助けるものにするのが我々の仕事だ。だからこそ、同じ興味をもつ人たちがつながる場所として私は「Watch」にワクワクしているし、だからこそショーを友人と一緒に観られる「Watch Party」のような製品を公開した。

もう一つ、業界で大きな変化として「ストーリー」の成長がある。ストーリーは、人々があらゆるソーシャルアプリで投稿するためにフィード投稿以上のものになると予想している。なぜなら、ストーリーは一日中の動画クリップをいくつも共有するためにより良いフォーマットだからだ。ストーリーの成長は、製品や事業の作り方に大きな影響を与えるだろう。そこにはWhatsAppやInstagramも含まれ、それらは世界で1番目と2番目に多くストーリーが使われている製品だ。

動画以外でも、人々が意味ある形でつながることを助ける長いロードマップを敷いている。

今日、より多くの人がグループを使っている。友人や家族の小さなグループから、興味でつながる大きなグループもある。人々がより自分にあったコミュニティを見つけ、グループ管理者たちの運営と成長を助ける新しいツールを作ることに注力している。

次の5年では、多くの人々がすでに使っているサービスの周りでエコシステムを作ることに引き続き注力する。

メッセンジャーやWhatsAppでは、事業者たちが顧客とやりとりするより多くの方法を提供できるようにしている。メッセンジャー用のプラグインを公開し、WEBサイト上でリアルタイムにチャットできるようにしたが、今や毎月20億を超えるメッセージがやりとりされている。

最近、WhatsAppは月間ユーザー数15万人を超えたが、毎日600億ものメッセージがやりとりされている。この中で増えているのが企業と個人の間のメッセージであり、それこそがWhatsApp Businessを公開した理由だ。中小事業者たちがリーチしたい人たちとつながることに特化したアプリだ。

次の10年以上で、私たちは世界をより親密にするために必要な根本的なテクノロジーを開発している。

人工知能に関する目標は、Facebook上のコンテンツ全ての意味を理解することで、より良いサービスを作れるようにすることだ。必要な情報を見つけやすくして、害のある内容を取り除くことに加え、会話を促進するコンテンツをより多く見せることを助けてくれる。

VR領域では、「Oculus Go」が今年、人々の手に渡ることがとても楽しみだ。タイム誌はそれを2017年最大の発明と言ったし、私はそれをみんなが使う日を待ちきれない。

2017年は多くの意味で良い年だったが、大変でもあった。だからこそ、今年の注力はサービスがただ楽しいだけじゃなく、良いものでもあるようにすることだ。そして、私たちは課題を解決できる自信がある。この旅路を共にしてくれる全ての人たちに感謝しているし、一緒に進んでいくのがとても楽しみだ。